第4章 大魔お..法使いナタリン☆
「きゃっ!随分メイクがリアルね..」
私とは違い、可愛く怯えた後、シュッと姿を消すお化けを華夜さんは冷静に見ていた。
「わっ私が守ります!!」
と自分の方が怖がってるくせに、そう出しゃばりたくなる程の超絶気絶級美人なのだ。真っ暗で姿はあまり見えないけど、声で分かる。
でも、華夜さんはとても身長が高くて安心感がある!だからそう言える程の余裕が私にはまだ残っていた。私はなるべく固まってキョロキョロと目を動かす。
「どうしたの?」
と心配して華夜さんは歩みを止めてくれた。
「リタイア口どこかなって、、」
「冷や汗すごいわよ!!これで拭いて!」
あ、ホントだ、こんなに冷や汗が出てたとは..ハンカチに申し訳ない!!!と思いつつ、ピチャン、と私達はまた歩き出す。
クォおおおおおおおおおおおおああ........。
「ッぎゃぎゅがぁあああああああッッッッッッッ」
ぬるぅ..という後ろからの空気に反応し、私達は振り向いた。くくさんもその瞬間カメラに収めようとササッと私達の前に。
「...」
後ろを振り向くと、今度はショートカットの茶髪で、天井からぬぁが~い首が生えてる女の人のお化け..。さっきからいたのになんで気づかないんだよ、という血走った眼。
「....................!!!!!鈴ちゃんっ!?」
絶句した後、気絶寸前の、最後の力を振り絞りスタート地点に戻ろうと駆け出してしまった。
「むむむむむむむむむむむむむむ無理」
その時私は華夜さんの腕をグイグイと引っ張っていたらしい。最悪な行為をした事にも気づかず、私は逃げ出すのに夢中で、泣いてんのか泣いてないのかももう分かんなくて、とにかく顔はもうぐちゃぐちゃ。
はは..こんな顔見られないんだったら、暗闇でもいいかもな..。
「鈴ちゃんっ!!」
「ばっ!?」
その時、華夜さんが止まってくれなきゃ、我を失い続けてただろう。怖い..!
「そっちはだめッッ!!」
暗闇で、顔はよく見えなかったけど、華夜さんがすごい形相してたのに気付いた。
「ご..ごめんなさ..」
膝はガクガク震えるし、バカみたいに歯がガチガチしてるし、私は震え続けることしか出来なかった。
わ..私..
だめだ..