第3章 まさかの疑惑
「つーかお前、いつも俺には謝んねぇよな」
と、自分は謝ってねぇくせにスウにどうなんだ、と問いかける。
スウが当たり前でしょ、というように俺を見上げる。
「春は....自分の生徒に謝った事多分ないでしょう...........」
スウは、無意識なんだろうけど、こりゃあ怒ってる。お前が誰にも謝られる権利はない、とな。
「多分で人の事決めつけていーのかてめーオイ」
この状況のスウほど暇をつぶせるこったぁない。
「春は..................」
スウはうん、と頷く。まだぷんすか怒ってやがるな、俺はいいらしい。
「ちっ、なんだコイツ」
と俺は舌打ちをもらす。そして、今までちょっと隠してたアイスをスウに渡す。
「...........ふ」
スウがその無表情をほんの少し、まじで少しだけ緩める。そのバニラアイスは普通のバニラアイスではない。
クッキーが耳、チョコペンで鼻と口など、お菓子が入った特別バージョン。 俺が普通のバニラを食べた後、+400円くらいしたやつを買った。サイズもでかい。
スウは結構、こういう、手作りモノに弱い。
「あー菜太郎クンだか何太郎クンだか分からんが太郎くんが買ってくれたヤツだ」
と、俺は何故か、いつもここで、ちょっと意地を張ってしまう。
「嘘..........」
と、そっけなくスウは言い、パシャッとスマホで撮った。
「...いちいち撮るなんて女子みたいで気持ち悪いな」
と、スウのスマホを覗く。やっぱ写真撮るのうめぇなこいつ。
「........うるさい................」
スウがうるさいと言うのも俺だけだ、そう思うのもーーってなんか腹立つわ。
ま、写真撮ったり暴言吐いたりして喜んでるみたいだから良しとするか。
(チョコペンでごめんって、.....直接......"ぼく"..に謝れば
いいのに..........)
「何また笑ってんだよ、すげー腹立つ」