第3章 まさかの疑惑
「あ、ーーありがとうございます!」
靴を触って汚れた私の手を、スウさんはおしぼりで拭いてくれている。
「気に...し....ないで......」
いつも通りに見えるけど、その声はいつもよりもちょっとだけ小さくて、掠れた声だった。
「あ.....」
と、隼人さんがまた何か言う前に、スウさんはどこかへ歩いた。
「あー、」
私達が引き止める前に、春さんは声をあげた。
「あいつ、たまにトイレ行ったフリして考えを整理するんだ、多分周囲の人間巻き込みたくねぇんだろうな」
と、春さんはめんどくさそうに頭をぽりぽりかいた。
は、春さん..、
「...お兄さん、ちゃんとスウに謝った方がいいんじゃないですか?」
私が思った瞬間、隼人さんが口に出してくれた。
「あいつ俺の前だと嘘が下手になんなー、気にしないでって、人間観察得意なヤツには気付いちまう」
春さんは隼人さんをスルーして話を続けた。ドキッとする。
「かぁってきたよーーーッッッ」
隼人さんがむっとしたその時、くくさんと葉太郎くんが帰ってきた。と、
「お、けっこううめぇなコレ」
春さんは、バニラアイスを頬張っていた。
「なっーー」
と、隼人さんは眉毛をあげて、
「俺、スウ探しに行きます!」
と、小走りでどこかに行ってしまった。
「隼人さ「ニテルッッッ!!!」
振り向くと、くくさんは口角が上げ、歯をきらめかせていた。