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ご指名は?1.5

第3章 まさかの疑惑



「あ、ーーありがとうございます!」

靴を触って汚れた私の手を、スウさんはおしぼりで拭いてくれている。

「気に...し....ないで......」

いつも通りに見えるけど、その声はいつもよりもちょっとだけ小さくて、掠れた声だった。

「あ.....」

と、隼人さんがまた何か言う前に、スウさんはどこかへ歩いた。

「あー、」

私達が引き止める前に、春さんは声をあげた。

「あいつ、たまにトイレ行ったフリして考えを整理するんだ、多分周囲の人間巻き込みたくねぇんだろうな」

と、春さんはめんどくさそうに頭をぽりぽりかいた。

は、春さん..、

「...お兄さん、ちゃんとスウに謝った方がいいんじゃないですか?」

私が思った瞬間、隼人さんが口に出してくれた。

「あいつ俺の前だと嘘が下手になんなー、気にしないでって、人間観察得意なヤツには気付いちまう」

春さんは隼人さんをスルーして話を続けた。ドキッとする。

「かぁってきたよーーーッッッ」

隼人さんがむっとしたその時、くくさんと葉太郎くんが帰ってきた。と、

「お、けっこううめぇなコレ」

春さんは、バニラアイスを頬張っていた。

「なっーー」

と、隼人さんは眉毛をあげて、

「俺、スウ探しに行きます!」

と、小走りでどこかに行ってしまった。

「隼人さ「ニテルッッッ!!!」

振り向くと、くくさんは口角が上げ、歯をきらめかせていた。


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