第3章 まさかの疑惑
「くく、ちょっとアイス垂れてる」
菜太郎がくくさんの服をおしぼりでトントンする。
「ちょっとどころじゃないッッくくお前もふけ!!」
くくさんは葉太郎くんの言うことを聞かず、座ってガバッと仰いだ。手には溶け残った甘い液体があるスプーン。
「おーテンションすげー。あ、俺アイスいらねぇから」
と、菜太郎も「僕も」と手を軽く振ってアイス拒否。そういやこいつ甘いのだめなんだっけ。
「じゃあ俺たちで行っちゃおっか!」
と、隼人さんはスウさんの方を向いた。
「...う......ん...........................」
スウさんの顔の赤みもやわらぎ、いつものように背筋がしゃきっとしてる。
なんか、さっきスウさん泣いてたけど、アイスでちょっと元気になったのかな..、今は場を明るくしたくくさんに感謝。
なんてことを考えてたら、
「あっ、スウさんもう行っちゃった」
と、列の最後尾にスウさんはもう並んでいた。早い。
「私達も..」
と、いきなり隼人さんにパシッと手を掴まれた。
「どわっ!」
と思わず声を出してしまった。え、今、隼人さんと、私、手をーー..!隼人さんがちょっと赤くなって、
「あっ、ごめん!従姉妹の子と間違えてーー」
と、隼人さんはバッと私の手を離す。
「えっ」
またも思わず声が出てしまった。
「ん?」
隼人さんは目を丸めた。
「あ...........ぁあ」
私の顔はペンキで塗られたみたいに赤くなっていく。俯いた。触れられたところがじんじんする。
恥ずい。恥ずかしい..!
すると、
「こうした方が良かった?」
と、隼人さんにまた手を掴まれた。
「えっ..?」
咄嗟に顔が上がった。隼人さんは、いたずらっぽく片方の眉毛を少し上げる。その瞳は、私をしっかりと捉えていた。