第3章 まさかの疑惑
「きゃああああああああぉぉおおおおおおおおああああああああアアアア」
女性たちから全速力で逃れようとする私タチ。
あ、足無双モード入りました。やっぱりこうなりますよね..。
「ただでさえお前だけと出かけた時も大体こーなんのに、今回イケメンがいっぱいだからなー...」
ヤレヤレ参った、という風な春さんだけど、逃げ足は誰よりも速い。慣れてるんだな..。
「ハアハアハアハアハアハアハッッッ、いいぬぇー追ってたのに今度は追われる立場になった瞬間の蔑みのアイぃぃィィィッッッ!!!」
ヘンタイィィィォ!こいつから逃れつつもあのイケメン達追えええ!!と大騒ぎどころではない暴風が巻き起こっている!
だが今だけ彼に感謝しよう..追う女性(または男性)達が半数以上減ったからだ。
「ん?葉太郎...」
ふと、前にいる菜太郎が声をあげた。
「え?」
その瞬間、
「えっお兄さーーッッ!?」
「葉太郎くんっ!?」
と、その瞬間、葉太郎くんが頭上に。え!?思った時にはもう遅い。
「ヴァアアアああああああああアアああああ!!」
「葉太郎ーっ!」
隣で並走している隼人さんが手を伸ばすのも無理はない。葉太郎くんはもうあの、中に..。
私は恐る恐る後ろを振り返った。バーゲンセール状態の女性達と葉太郎くんの悲鳴を前に、立ち尽くした。
なんということだ。
と、スウさんが走るペースを一気に上げ、小さく鼻で笑う 悪魔野郎を追い越し、春さんの後ろに。
「春.........」
「よし、今のうちにアイス食べに行こうぜー」
ぬぁなんか今、恐ろしい事を聞いてしまったような..?春さんは平然としている。
「...................っ」
スウさんは一瞬固まった後、女性達の方へと突っ走った。
「なっ!」
春さんが目を見開く。
「えっ..」
隼人さんと私は、駆けるスウさんの腕を掴む事も出来なかった。
「こっちにきたわあああああ「こっちも追おうぞおおおおおおおおおおお「おおおおおおおおおおおお
スウさ..っーー!
反射的に背中を追おうとしたら、誰かに押される。
「っ!」
「山田っ」
私が転ぶ前に隼人さんが体を受け止めてくれた。
「あーーー」
私が手を伸ばした瞬間、春さんがスウさんを、後ろから右腕で抱きしめた。