第3章 まさかの疑惑
「ボクのキュートボォオイッッッ!!!」
くくさんがボサボサだけどさらさらしている髪をなびかせ、全力疾走した。もちろん菜太郎のところに。
葉太郎くんに、
「..あり....が....と.......う.....................」
と呟き、スウさんはお兄さんに近づく。
「春、そろそろ帰ってもいいんじゃない.....」
と、スウさんが無表情でお兄さんーー春さん?の背中を押す。
「わーひどいよお弟ー」
と、春さんは棒読み。
へえ、スウさんなんか、いや、スウさんも人間だけど、お兄さんを前にすると表情が少しだけど柔らかくなって、なんか、兄弟みたい。いや、兄弟なんだけど!
「なーなー、仮にも久々に会った兄なんだからよー、遊ばね?」
と、春さんはごく普通のようにスウさんにグイグイくっつく。
スウさん、雰囲気で嫌そうな感じする..。
「春......久々ってこの前もちょっと会ったし、....」
と、スウさんの言葉をあーあー!と遮って春さんは皆さんの方を向く。
「というかあのバーさんに言われたんだ、しんこーとやらを深めろって」
と、春さんはだるそうに自分の耳をいじる。
「えッッ、そうなんですか!?」
葉太郎くんが食い入るように大きな声をあげた。ガタンッと椅子が倒れる。
春さんがぱっと耳から手を離した。