第3章 まさかの疑惑
「春っ..!」
突然、スウさんがお兄さんの手を取った。肩から手が離れる。
「....スウ、もういいだろ。もうお前、バレてんだよ」
え?なに..?
「エッッッ!?なにナーー二!??」
お兄さんはまたくくさんの髪を片手でいじり始めた。
ドクン..
スウさんが、かつてこんな、真剣な感情を表に出し
たことはなかった。
「お前が初恋の女の子忘れられないってこと!」
..へ?
多分その時の私はとんでもなくアホな顔をしていただろう。お兄さんはわざとらしく口元を押さえ、にやにや笑う。
「.....」
そんなお兄さんを見て、いつも無表情なスウさんの眉が少し下に下がる。そして、スウさんは自分の胸を、ゆっくりと押さえた。
『山田さんじゃない』
はっと脳裏に映像が浮かんだ。
私は、そんな事を言われて、スウさんに2回抱きしめられたことがある。
あれは、初恋の人をーー..。
なぜか私まで、胸を押さえてしまった。
「お兄さんっ、スウのプライベートな事そんな大声で言わなくても.....!」
と、隼人さんがすかさずナイスフォロー。コイツ色恋についてちょー疎いのになーとお兄さんはまだスウさんをからかい続ける。
「恋とはプリンスでも忘れられないんだ.ネッッッ!!!」
「お、おい大丈夫か?」
葉太郎くんがスウさんの肩に手を置いた。と、我にかえる。
「....う.....ん...............................」
スウさんは、唸るように声を出した。