第6章 隼人さんの杞憂
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
♦︎♦︎♦︎
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
♦︎♦︎♦︎
なのに、選ばれるのは、いつも菜太朗の方だ。
例え、俺が殺されそうになっても。
...今、こんな時でさえ。
「おとう....さん....ッッ!?」
俺の双子の弟、菜太朗の小さな手を引っ張って、どこかへ連れ出そうとする。
「菜太朗だけ連れて、どこ行っちゃうんだ...!?」
幼い身体で、必死にその人に抱きついてみた。
「うるせぇっ!!!葉太朗、お前は菜太郎より要領悪くて俺が使い辛いだろ!!」
ビクッと、体を震わせる。
「...お前の面倒は俺の親戚が見る。じきにこの家に来るだろう。じゃあな」
その人の横顔が、影が濃くて見えなかった事....
連れて行かれる瞬間の菜太朗が、
俺を見下し、暗く嘲笑っていた事ーーーー。
それを俺は、忘れた事はない。
「っ...くぅっ...ひっく......っ!!」
俺は、その場で泣き崩れた。
「助けて....助けてよぉおっ....っ!!"おにいちゃぁん"ッ...ッッ!!!」
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
♦︎♦︎♦︎
♦︎♦︎♦︎♦︎♦︎
♦︎♦︎♦︎