第5章 ※これは、一応ホストの話である(?)
「エ。エ〜ッと、琴さんて..」
貧しい脳みそを、ぎゅるぎゅるるる回転させて導き出した。
「あの方、ですね?」
と、私のおそるおそふの問いかけに、スウさんがこくり、と頷いた。ソウダ!!私がスウさんの琴って源氏名、名付けたんだっけ..。
スウさんのホストのカミガミしく、神美しいお姿を拝みつつ、お客さまの対応をしようと振り向いた。
「きゃーっっ!!!愛の救世主の双子の弟の悪魔君(ラブメシアのふたごのおとうとのあくまくん)ーーーーッッッ!!!」
「おっ、お客様!?」
と、一瞬おウチの防犯警備隊みたく稼働しようとしたが、私はまた思い出す。
そ、そうだった..!
今更ながら、たりり..☆と冷や汗をかく。
葉太郎くん、愛の救世主(ラブメシア)って源氏名つけてた..。あの時の自分ノリで良いって言っちゃったけど、実際、割と
..うん..、きっついね..。(失礼。)
というのが正直な感想だった。ごめんね!!葉太郎くん!!
それで、キャアキャアとあくま君あくま君言われた菜太郎はというと。
「...」
何も聞こえないフリしてた。ブフッ。
そうだった!ポン太がいいって言った後私が悪魔くんのがいいんじゃない?っていう風に言って今に至る。
「ちょ、何も聞こえないフリは良くないんじゃない?菜太朗」
と、肩をポンと叩き、菜太朗に話しかけたら、びくっ!と反応した。
え?
「...」
「あっ」
無視された。
と、私は後ろからお客さまが来たことに気づいていなかった。
「鈴ちゃん〜!頑張っているようね..❤︎」
!
「華夜さんっ..!!」
なるほどネ、と私は瞳だけ動かして菜太朗の背中を見た。..華夜さん、華夜さんが現れたから、あんなびっくりしてたんだ。ちなみに菜太郎は、華夜さんが現れるとすごくじろじろ見るなど、挙動不審になるきらいがある。
推測するに、昔のーーコレ。つまり、元恋人。
そういえば、あの時、ホスト始まる前毒気がないようにすましてたのは、あの時外に、華夜さんいたからだよね?じゃあ、見つめててーー。
ズキン..。「?」
不意に、胸が痛んだ。..誰に対して?あはっ、そんなばなな..
「じゃ、見させてもらうわ」
!!!!!
華夜さんは、誰にも見られないように、かがんで私の手の甲にーーキスをした。
見上げてきたのは、美瞳。