第4章 大魔お..法使いナタリン☆
その声の声音に敏感に反応し、私は一瞬で葉太郎くんを、振り返る。ーー今にも見えない境界線を超えてしないそうな、彼の立ち姿。
そんな葉太郎くんと私より、遥かに大きく上回る窓ーーーそれを覆う薄いカーテンからの大きなカゲが彼に取り憑いて…血の気が、引いた。
「も、もう一回探そう…?葉太郎くん…」
思わず諭すような言い方になってしまった。冷や汗が全身にへばりつく。葉太郎くんだって、そっちの方が良いって、わかってるはず…?
ふいに、膝がズキッと痛んだ。
「‥ごめんな……、山田。」
その顔は、ーーこれは全て、自分が仕組んだんだんだとこれから言うみたいに、申し訳なさそうな、覚悟した、…顔。
「…え、いき、いきなりどうしたの葉太郎くん!?」
思わず叫んでいた。葉太郎くんが、犯人だと知った、ーーその恋人役の、女の人のように。
「冗談やめて!!しっ…、何があるか、わかんないっ、し…」
『わかんないし』と言った、『し』に、強い拒否反応‥を覚えた。膝がズキズキしてきたのに、腰まで痛くなってきた気がする。葉太郎くんは、ふいに頭を下に向けた。鳥肌が立つ。彼が何か動こうとする度、足があちらへ動いているような気がした。もう、境界線は、超えてしまってるのだろうか…?
「…こんなに探したんだ。奴は試してるのかもしれない。」
妙に真剣な声に、訳が分からなくなった。『奴は試してる』?『ごめんな』?どうして!??どうしてよく分からないゲームで、葉太郎くんは、下手したら命落とすかもしれない事を、しなきゃいけないわけ!!!??距離は、5Mかそこらなのに、彼との距離は長く感じた。
「っだめだよ!!戻って来て…」
だめだっ…こんな事しか言葉にできない。一瞬、視界が真っ黒になった。ああ、なるほどこれは瞬きか、と少しかかってから気付くまで、生かしかで、絶望していた。
「でも、確かめなきゃ分からないだろうッッ…!!!?」
葉太郎くんは、半ば私をなだめるように大声を出した。ハッと、葉太郎くんにジリジリ歩いて近付いていった体を止める。
「だめだよッ!!!!!もう1回探してからでも遅くないっ…し、もし見つからなくても」
見つからなくても…
その言葉の続きは、言えなかった。
なぜなら、気恥ずかしかったから。