第1章 Another Story
「ねぇ、も一回言って?さっきの、俺のこと好きって」
「も、いわない…………っ」
「なんで?血、あげるよ?」
「だから…………ッ、欲しいわけ、じゃ…っ」
首を舐めながらそう甘えて言えば。
怒ったように顔だけ振り向いた凛と、視線が絡む。
にこりと微笑んで。
さらに甘く、凛を困らせた。
「ないの?」
「…………ッ」
真っ赤になって困ったように、視線を外そうとする凛の唇を追いかけるようにまた、奪う。
「いらないの?」
「…………いらない」
「俺が?俺の血が?」
「〜〜〜なんで今日、翔琉こんなに意地悪なの…っ」
「凛ちゃんがかわいいからだよ。…………欲しくない?」
首、肩。
制服のリボンを外して露出させた背中へとキスを落として。
凛を甘い声で、誘う。
「ズルい、翔琉」
「知ってる」
ねぇ。
聞かせてよ。
凛ちゃんの口からもう一度聞きたい。
俺を、欲しがって。
「…………あたし、も」
「うん」
「…………す、き」
「うん」
後ろから凛を囲うように倉庫の扉に付いた両手。
凛の肩へと完全に頭を乗っけて。
下から凛を、目を細めて覗き込む。
ちゃんと言って。
俺を欲しがって。
「…………んっ」
それから。
俺の腕から抜け出して、凛は正面から。
唇へとキスをした。
「…………も、お願いだからちゃんと触って……ッ」