第6章 コワイヒト
大きく仰げば、地に黒い大きな穴があき竜巻のように突風が吹き荒れる。
飛ばされないように踏ん張りながら目を小さく開けると、妖達が次から次へと黒い柱となって空へ放たれていく。
「風穴をあけやがった!だからよせって言ったんだ!小福が黒器を使うと一気に時化る!」
「神流様、黄泉から妖が溢れだしてきています、ここは危険です。それに…」
茜の切羽詰まった声に黒くかすんでいる空を見上げる。右目頭から流れ出た血で既につぶれている。
神流の体は傷だらけのぼろぼろで、これ以上戦うには多少無理があった。
「怯むな!囷巴!」
「お譲!」
囷巴の存在に築いた黄金が神流を突き飛ばすが、囷巴は神流を通り過ぎ夜卜の肩にかみついた。
竜胆が助けに行こうにも、体が動かない。黄金も同様で、まったく訳の分からない顔をしている。囷巴も同じように、突然縛られたように動きを止め、その隙を夜卜につかれ身を引いた。
「(あれは、縛…)」