第6章 コワイヒト
ぱきっと小さい枝を踏み折る音が聞こえ、毘沙門が大太刀を担いでいる。
「歩く武器庫かよ。あーあ、此岸の物まで斬っちまって…そこらの林、ダメになんぞ。」
「邪悪を斬る為ためだ。多少の不義は構わん。」
「流石。その邪悪にいかされただけあんな。不義に寛容でいらっしゃる。」
「それが、遺言か…」
刀を構えにらみ合う三人。まさに三つ巴の戦いが始まろうとしていた時、突如聞きなれた声が空から降ってきた。
「夜卜ちゃーーーーん!かんにゃーも見っけ!」
「「小福?!」」「小福殿!?」
空を見上げれば笑顔で指さす小福の姿に絶句する。
「おいで黒器!二人とも喧嘩は…!」
黒器を構えた小福。夜卜、毘沙門、神流の三人はとたんに青ざめる。
「それは!」
「よせバカ!」
「待って!」
「やめなさーーーい!!」