第6章 コワイヒト
妖が溢れる柱の向こう側、毘沙門の凄表情が垣間見える。
しかし、兆麻と何やらもめたと思えば、毘沙門は囷巴にまたがり去って行った。兆麻だけが、残りそして頭を下げ、姿を消した。
「ひよりちゃん!君も逃げろ!あぶねぇぞ!」
歩くのもやっとの神流を黄金と竜胆が支え、手負いの夜卜を掴み大黒がひよりに呼びかけた。
「はい!」
「やってくれたな小福!」
「えへへ、あたし凄い?」
「お前のせいで最悪だって言ってんだバーカ!」
「てめぇ!うちのカミさんに助けてもらったくせに!!」
「いって!痛てぇよ大黒!」
一人遅れて歩く神流の背をひよりはそっと支えた。みると、至るところに切り傷やらなにやらで、出血が酷いところも多数ある。
「傷だらけ!…なんでこんなこと…」
「ちょっと油断しすぎた。」