第6章 コワイヒト
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「夜卜。」
「あ?」
「さっきの…あの人の神器。本当に、殺したのか?」
神流と毘沙門の激闘がいまだ続いている中、日は傾き、夜卜たちのいる木々の中は既に暗闇となりかけていた。
「…あぁ。」
「それじゃぁ、復讐されて当然だ。…何で?」
「斬りたいから斬った。そんだけだ。」
「そんなに簡単に斬れるんだ。」
「何言ってんだ?」
夜卜と竜胆に背を向けて俯く雪音。
「じゃぁ、俺がへましたら斬られるのか?俺が必要でなくなったら…」
神器の精神の乱れは主に影響する。そのことを知ってる、理解している竜胆には今の雪音にしてあげられることはないと感じていた。
口を開きかけた時、二人は事もあろうか口喧嘩の真っ最中。
「お前等、こんな時に…?!」
空を切る鋭い音が聞こえ、木々の一角が綺麗に斬り落とされ、強風にあおられる。濛々と立ち込める煙の中、神流が立ち上がった。
「お譲!」
「おまっ!何やってんだよ!」
「五月蠅い!」
珍しく夜卜に一喝する神流に雪音は驚きで目を見開いた。
その横顔は真剣そのもので、自分と同じような白い刀と、普通の刀を構えていた。