第6章 コワイヒト
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その頃竜胆は、夜卜を見つけ降り立った。
「夜卜、乗れ!」
「すまない。竜胆。」
竜胆は手負いの夜卜を背に乗せ、木々の生い茂る山へと姿を消した。
「お譲が足止めしてくれてるだろう。それまでに作戦練っとかないと。」
「ど、どうすんだよ!殺されちゃうよ!!」
騒ぐ雪音に竜胆の視線が矢のように貫いた。
うっと詰まる雪音。牙をむいて威嚇する竜胆。対照的な神器の姿。
「お譲が助けてくれる。神器が主を信じなくてどうする。」
「で、でも!」
「黙れ!」
今にも飛びかからんばかりの竜胆に、夜卜はそっと声をかけた。
「もういい。礼を言う。お前は戻ってあいつが殺されないようにしとけ。」
「断る。お譲には黄金もいるし、その他の奴らだっている。俺は、お前を逃がすように言われたんだ、夜卜。」
その言葉が、二人にどう聞こえたのかはわからない。