第4章 幸せのありか
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「なにそれ~、あたしが全部悪いの??」
出て行ったときと同じくものすごい勢いで帰ってきた夜卜から一連の出来事を聞いた神流達。
「たしかに、ゆーすけくんとは、ちょーっと遊んだけど?」
「「「ちょっと??」」」
貧乏神のちょっとは、常識のちょっとではないということを、後世に伝えるべきであろう。
「小福~…俺という神器がいながら~…」
「だって~、あそこいっちゃダメーあそこいちゃダメーってうるさいんだもん!」
「あったりめぇだぁ!厄災まき散らすだろうが!!…やれやれ。しかしお前、やるじゃねぇか。新人の癖に縁切りなんて。」
「そんな凄いことなの?」
きょとんとしている雪音に神流が笑顔で親指を立てた。神器になりたての癖に縁切りが出来たという話は聞いたことがないくらい凄いことであった。
「あぁ。縁は結ぶよりも切る方が難しい。」
「神器の能力にも大いに左右されるしね。私の神器達でも最初はなかなか縁切りなんて出来なかったよ。」
「へぇ…ま、どうってことなかったけど。」
照れくさそうに笑う雪音を見て同じく神器である大黒が笑い声を洩らした。
「頼もしいな。夜卜、いい神器がみつかったじゃないか。」
「でしょー!なんたって、俺が見染めた奴だから。ねー、雪音くーん!」
抱きつき頬ずりをすれば、離れようと躍起になって暴れ出す雪音。
「きもっ!はなせ!!」
「照れるなよー!!」「やめろーー!!」
とたんに笑顔が個々の顔に広がり、笑い声が夕焼けの中に小さく流れる。先ほどの夜卜の悪い噂も、あれは冗談だろうという芽がひよりの中で芽生え始めていた。