第4章 幸せのありか
「大丈夫だよ~。うちの大黒はね、ちっちゃい子見ると、視界から消えるまでうっとり眺めるくらい子供が大好きなの~。」
「今いっきに大丈夫な人じゃなくなったぞ。…おい。そこの少年。」
大黒が呼びかけるとすかさずひよりが腕を広げ雪音を隠す。
「びびんなそして隠すな。…君、夜卜の神器か。名前は?」
「ゆ、雪音。」
「神器は長いのか?」
「いや、初めて…です。まだ駆け出しで…」
「…そうか…まだ、ガキなのになぁ。」
とたんに大黒から見えたなにやら悲しげな表情。その理由が分からずに、雪音は首をかしげることしかできない。
「大黒…さん…」
「ねぇねぇ!」
「は、はい!」
「貴方は?」
「壱岐ひよりといいます。」
「へぇ~、ひよりんっていうんだぁ~。」
「りん?」
「ひよりんは~普通の子だね。夜卜ちゃんのなに?」
「へ?!な、なにって…知りませんあんな人。」
「やだぁなに怒ってんの~!」
とたんに飛びつく小福。どたどたと後ろで暴れるのを見て、大黒は煙草を取り出した。
「ごめんな。うちのカミさんバカなんだ。今日は新しい人と知り合えて、かなり嬉しいようだ。」
神流の後ろでバキッと何かが壊れる音がした。
「で、どうだ。夜卜のとこは?」
激しく雪音は首を振る。今朝の出来事があったゆえに首は縦に振ることはない。
「だよな、待遇悪いもんなあそこ。」
「俺転職したい!」
「いいんじゃね!」
「ここはダメ?」
「ここは俺一人で十分だ…」
「ですよね…」
「転職したいならここにもう一人いるじゃねぇか。神様が。」
さっきからずっとお茶を飲んでいる神流を指さし、雪音の目が神流をとらえる。
「神流さんのとこは?」
「私?!」
真剣な雪音の眼差しに頭をひねる。別に雪音を神器にしてダメなわけではない。むしろ願ったりかなったりといった方があっている。
「うーん…そしたらまず、夜卜に貴方の名前を取ってもらわないと。それに、夜卜は神器がいないと仕事が合っても出来ないから。」
苦笑しながら言うも、それでも雪音は引き下がらなかったが何かを汲み取ったのかそれ以上は何も言わなかった。
「そうだ、ゆっきー。」
「ゆっきー?」