第4章 幸せのありか
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「俺は恵比寿小福の神器。名は黒、器は黒、呼び名が大黒だ。」
中に入りお茶を出すと大黒は名を名乗った。ここはよく神流もお邪魔している。仕事で来ることもあるし、遊びに来るだけの時もあるしで小福とは長い付き合いだ。
「すげぇ、恵比寿ったら有名人だよな!」
「七福神の一人だよね!でも、イメージと全然違う。」
「…何を話してる?」
半ば睨んでいるような顔で聞かれ、二人は慌てた。
「い、いえ!あ、あのとってもお似合いのご夫婦だなぁって…」
「夫婦?」
「…ご結婚されてるんですよね?」
「いや。」
「えぇ?でも今恵比寿さんのこと…」
「小福でいいよ~。」
「…小福さんのこと、かみさんって…」
大黒の言い方は誤解を招きやすい。意味が分かれば納得だが。
「俺の神様、カミさんってことだ。な?」
「うん!」
目を点にして口をあけ呆ける二人。その横で神流はお茶を飲みながらほっと溜息をついた。
「…おかしいか?俺は気に入ってんだが…」
再び見えた怖い顔に脅える二人。
「い、いえ…!」
「とっても素敵だと思います!」
「お前等そいつと目合わすな。」
今までしゃべらずにいた夜卜がようやく口を開いた。今度は何を考えているのか俯いたままでこっちを見ようとしない。
「それ以上は危険だ…なぜならそいつは…そんな極悪な面して…子供に興味がある!!」
言い方というものは常に大事である。
「誤解を招く言い方するなぁぁぁぁああああ!!!」
夜卜の姿は遠くへと光って消えた。