第4章 幸せのありか
その後ろで雪音と神流はそろって欠伸をする。お腹もすいたけど、眠いたい。
「ったく、こっちは夜卜のくだらない寝言がでかすぎて寝不足だっていうのに…」
「はぁ…ほんといい夢だったなぁ。」
「はぁ?夜卜ラ―とかありえないし。」
「そんな恥ずかしい格好するくらいなら、私国外逃亡します。」
グサグサと刺さる言葉に夜卜は振り返り神流に泣きつくも、今度ばかりは慰めの言葉も見つからず、ただなりゆきに身を任せているだけ。
「だいたい、これがモテるはずねぇじゃん。」
「これ?」
「だーれが握手なんかしたがるんだよ!知ってる?こいつの手ちょー汗ばんでるんだぜ。」
わざと口元を隠すようにひよりに言う。まんざら、嘘でもないなと神流は思った。実際、伴音も同じことを愚痴っていた。
ふるふると怒りに震え拳を握りしめると、おもむろに夜卜は立ちあがった。
「だったら見せてやろうか…神の本気を…」
ただならぬその雰囲気に思わず目を開かずにはいられずに、三人はじっといつにもなく真剣な夜卜を見つめた。
「夢で見たことが全て現実になる。なぜなら…」
ごくりと唾を飲み込み次の瞬間を待ちかまえる。