第4章 幸せのありか
何度目か分からない大欠伸をすると、徐々に陽が昇りあたりを様々な色に染め上げる。
今の三人の個々の脳内は、眠い、眠い、頭痛い。
おまけに硬い石の上で寝たせいで体はかちこち。神流と雪音にとっては最悪も最悪な目覚め。
ぼーっと三人、並んで座ったままいるとひよりがやってきた。時は既に日は昇り、あたりをほのぼのと温めていた。
「おはようございます!」
「おはよう!ひより!」
「おー、おはよ~…」
「…おはよ。」
ひよりの元気な声に元気に反応するは夜卜のみ。二人はいまだに欠伸噛み殺しながらくちぐちにおはようと口を動かす。
「どうしたの?こんな朝っぱらから。」
「お弁当作ってきたんです。お腹空いてると思って。」
鞄の中からお弁当を取り出し夜卜と雪音に差し出す。
「神流さんの分もありますよ。きっと、夜卜に手を焼いていると思って…」
はい、といって渡されたお弁当をしばらくじっと見つめ目をあげると少しひよりが目を伏せていた。
「…おせっかい、でしたか?」
「…そんなことないよ。ありがとう。」
微笑みとともに礼を言うとひよりの顔に笑みが広がった。境内の石段にそれぞれが落ち着く。
「わーい!サンキュー!ひよりー!」
「そのかわり今度の今度の今度こそ私のお願い、聞いてくださいね!」
しかし、弁当を掻きこんでいる夜卜にその声はまったく聞こえず、挙句の果てには
「タコさんウィンナーだぁ。」
と、酔いに浸っている。
「聞いてます?!聞いてないですよね!!」