第3章 招かれた厄災
駅のホームには今まさに電車が通ろうとしていた。夜卜が線路上にいた妖を切ると下へ向かって叫んだ。
「飛べ!」
現れたひよりは、電車の上に着地すると両手をつき息を整えた。夜卜も同じく着地すると、声をかける。
「大丈夫か?」
「お疲れ、ひより。」
まるで楽しむように座りながら傍に従えている黄金の鼻面をなでる神流。ひよりは二人に見えるように頷いた。
「ったく、尻尾が切れたら死ぬつっただろ。大人しくそこにいろ。」
おいでおいでと神流が自分の隣に手招きする。
「雪音、この先の踏切が本番だ。」
風に乗って踏切のサイレンが耳に届く。例の踏切は時気の柱が漂っている。傍には、受験生が一人。すると、見る見るうちに妖は手の形に姿を現した。
「あの妖を切る!びびんなよ、雪音。」
「余裕。」