第3章 招かれた厄災
頭を巡らせていると、どこからか唄が聞こえた。
「東風吹かば にほひおこせよ 梅の花…」
風に乗って梅の匂いが鼻をくすぐる。それと同時に、枝だけだった梅の木に不思議と花が咲き、花びらが舞う。
「…主なしとて 春を忘るな」
「こ、この歌は菅原道真!もしかして…学問の神、天神様?!」
「あれ、わかっちゃった?」
相変わらず茶目っ気たっぷりなおじさん。初めて大物の神様を目の前にする二人は、天神の前にしばらく立っていると、へなへなとその場にひれ伏した。
「「か、神よ!」」
「えぇえええええええ?!!?」
そんな夜卜をよそに、目を輝かせ崇め奉らんとばかりに頭を下げる二人。
「そこの生き霊ちゃん、よく知ってるね。結構な懐メロよ。」
「教科書に載ってます!」
「困るな~。著作権はどうなってんの?」
「没後五十年までです!」
「あら、そう。」