第3章 招かれた厄災
「いいか雪音。教えとくぞ。神と神器は一心同体なの!お前の心の邪な波は、主である俺に伝わっちまうんだからな!!」
口にくわえていた飴を振りまわして怒ったように言う夜卜。その隣で神流は眉をひそめ、三人には見えないようにうなじに手を触れた。
雪音は今はもう夜卜の神器だ。なのに、何故?
「はぁ?何言ってんのお前。」
「あの…一心同体ってどういう…?」
「まったく、思春期のお子ちゃまには、困りもんでちゅね~。」
明らかに安っぽい挑発。これだからもめごとが絶えない。
「うっさい!ボケ!」
「ボケとは何だ!!」
物の数秒で始まった口喧嘩に、ため息をつく神流とひより。
「あんなんで本当に人の願いを聴く神様…なの?」
「一応…神、です。」
階段を飛び降り、同じように口喧嘩の様子をみながら、あきれに近い声で神流は言った。