第3章 招かれた厄災
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店を出ると冷たい空気が頬をさすった。後ろでありがとうございましたと声が聞こえ、振り返ると夜卜がなにやらレジで馬鹿なことをしている。
「もう!まったくあの人は!!」
少々乱暴にドアを開けながらひよりが出てきた。神流も後に続く。
ふと、雪音がこちらを見ているのに気付き首をかしげると、やや頬を染めてつぶやいた。
「一応…ごちそうさん。」
恥ずかしそうに言う雪音に一瞬驚いた顔をするも、ひよりは優しく微笑んだ。
「いえいえ。私、壱岐ひより。ひよりでいいよ。」
「ひよりはあれの何?」
「えっと…体を落とす体質になっちゃったから、夜卜に治してもらいたくて…」
「ふーん、ついてないね。」
「だよね…」
あははと笑うひよりに、神流は目をつけた。行きながらにして妖とは珍しい。夜卜はまだかと、後ろを振り返り、ガラス越しにその姿を見つめながら二人に会話に耳を傾けた。
「あの…雪音君はなんで…」
躊躇するように一旦口を閉じる。
「夜卜の神器になる前はどうしてたの?」
「…さぁ?とにかく、死んだのは知ってるけど気付いたらアイツの手の中にいて、生きてた時のことまったく覚えてない。これからのこともさっぱり。」