第3章 招かれた厄災
「…そのわりにはよく召し上がりますね。」
皿やナイフフォーク、箸などの音を響かせ、あきれるほどに並べられた料理を次々と空にしていく夜卜と雪音。
「お供え物は残さない!これ、絶対。」
「お腹壊しますよ…」
「大丈夫!神様---しない。」
思わず飲んでいたコーヒーを噴き出す。神流もあきれ顔でやれやれと頭を振った。
「人のお金だと思って…」
「私も出すよ。」
「え?」
「こいつの面倒、見てくれたお礼。」
食べるスピードを落とさない二人に、紙ナプキンを渡す神流。
中腰になっていた体をそっと座らせると、ミルクを入れたカップをスプーンでかきまわした。
「…あんた、こいつとどういう関係なんだよ?」
こいつという言葉と同時にフォークで夜卜を指す。一瞬神流は間を置くと、言葉を選んだ。
「こいつとは…何だろうね。」
「命の恩人と言え!恩人と!」
ぶつぶつと水を口に含みながら唸るように言う。その様子に、ひよりと雪音の二人はただならぬ繋がりを感じた。
神様だからなのか、それとも別の何かなのか。夜卜が神流の命を助けた、ということを理解した時点で、目に見えるように糸が結ばれているのが見える気がしたのだ。