第2章 雪のような
神流は思わず声を押し殺して笑った。
「…あ、じゃぁ、これを…」
ひよりが差し出したマフラーをもぎ取るように受け取ると、無造作に巻きつけた。
「寒…どっか入りたいんだけど。…なぁ、聞いてんの?」
返事をしない夜卜に雪音が何度も問いかける。その様子を見て神流は思わず声をあげて笑った。その声に初めてひよりと雪音は後ろを振り返り、神流の存在を目の当たりにした。
「…わ、笑うな!」
「だ、だって…その子賢すぎ…」
ショックから解放された夜卜はすかさず声を荒げる。それに対し神流は一行に笑いを止める気配を見せない。
「…あ、あのぉ…どちら様?」
戸惑いながら神流に声をかけるひよりに、少し息を整えると夜卜達に歩み寄った。
「我が名は神流。そこの、夜卜の知り合いだ。」
「神流…さん?」
「…お前等気をつけろよ。」
呆けている二人に注意すべく口を開く夜卜。