第2章
授業が終わって今日は生徒会活動もない由希は家に居候をしている十二支の呪いを知る同い年の少女、本田透と家に帰ってきた。西日が差し込む家に明かりを灯しながら部屋に通学鞄を置き制服から私服へと着替えると居間から悲鳴が聞こえ焦って階段を下りる。
「どうしたの本田さん!」
「ゆ、由希君!か、帰ってきたら縁側にし、知らない女性が…!」
透が顔を青くして指さす方を見れば、そこには所々に黒い毛が混じった真っ白な髪をした同い年くらいの少女の姿。
由希は見知ったその姿に溜息をつけば縁側で眠る少女に声を掛ける。
「驚かせてごめんね、本田さん。彼女は草摩灯桜、草摩の人間だよ。
起きて、灯桜…、灯桜」
「ん…」
「草摩の方…と言う事はもしかして」
「うん、灯桜は寅の十二支なんだ。
ほら、灯桜、こんなとこで寝てたら風邪ひくよ」
小さく身動ぎをしてゆっくりと瞼を開く灯桜は由希の顔を見ると眠気で半開きだったはずの目をぱちりと開けた。
「ゆ、き…?…ゆき、由希だ。おかえり?」
「ただいま…じゃなくて、どうして灯桜がここに…」
「透君って人に会いに来…あなたがそう?」
由希の後ろに立つ少女に気付いた灯桜が金色の目を透に向ける。
「はっ…!申し遅れました!初めまして、由希君と夾君、それから紫呉さんにお世話になってる本田透と言います!」
「草摩灯桜、由希と夾とぐれ兄と同じ十二支の物の怪憑きだよ、よろしくね」
「はい!由希君から寅さんなのだと聞きましたです!」
とても嬉しそうに目をキラキラと輝かせる透に不思議そうにする灯桜。
「そういえば紫呉は?」
「ぐれ兄なら出掛けて夜まで帰ってこないって、聞いてない?」
「初耳です、ご飯は帰ってきてから食べられるのでしょうか…?」
多分本家で食べて帰ってくることはないだろうと思い頷く。
「ではもうそろそろ夜ご飯の準備をしますね!
灯桜さんは本日はこちらに泊まっていくのでしょうか?」
「一応その予定!」
わかりました、と微笑むと透は台所に消えていった。