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根無し草【フルーツバスケット】

第5章     




「十二支が誰かとイチャつくのは外だろうと草摩の家であろうとかなりの覚悟が必要…ってね」


透の方を見てウインクをする紫呉に透は理解ができないようで頭上に?を浮かべて首を傾げ、灯桜の隣に座る燈路は顔を俯かせ表情を陰らせている。


「ま、兎に角軽く流さなきゃ。むきになるのは君もまだまだ反抗期だっていう証拠だよ。
 早く僕のように立派な大人に…」


紫呉の話を聞いているとその自称立派な大人の後ろには担当の満が涙を流しながら立っていた。


「大人…?締め切りを守らない人が立派な大人ですか…?」

「玄関で首吊りそうな顔してたよ」


どうやら中に通したのは偶然玄関で満を見つけた由希のようで、満は紫呉の胸倉を掴んでどうしてどうして!と紫呉を揺さぶっている。かく言う紫呉は笑いながらどうしてだろうねえ?とはぐらかしてまだ満で遊んでいるようだった。


「この家にいる間何度この光景を見る事になるんだろう…」


うわーと泣き叫ぶ満に今書きますよーと紫呉が自室に消えていけばピタリと泣き止み満面の笑顔で襖を閉めて消えて行った。…と思えばまだ遊ぶのを辞めない紫呉は急用を思い出したとか言って早々に家を出ていき、満もまたそれを追いかけて消えて行った。


「うるさいなぁ。もう少し静寂を貴べないの?
 それから、お茶のおかわり」

「だからお前は…!」

「すぐご用意しますね」


再度透にお茶のおかわりを催促する燈路に、ポットの中を確認すると台所へ向かう透。相変わらずの光景にやってられるかと居間から出ていく夾。日を増すごとに騒がしさも増す家に呆れたように溜息をつくと由希もそれに続くように居間を後にした。


「燈路は透君、嫌い?」

「好き、でもないよ…」


好きでもないという曖昧な返答。けれどそれは裏を返せば嫌いでもないという事で灯桜は安心したように頬を緩める。


「お待たせしましたー!」


新しくお茶を淹れたポットを持って居間に戻ってきた透を燈路は睨みつける。
けれど、そんな燈路に透が微笑むと、トイレと一言だけ残して燈路はお手洗いに向かった。






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