第4章
「嘘うそ、冗談。もうできてますって」
「せーんせー!ありがとうございますー!」
出来上がった原稿を受け取った満はきゃいきゃいと利津と共に喜んでいる。
「よかったですね、みっちゃんさん!」
「りっちゃんさん本当にありがとうございました!
あの…もしよければ私とお友達になってくれませんか?」
長くは続かなかったが紫呉と灯桜が先程まで話していたように、満と利津は似た者同士なようで、お互い何かに通ずるものがあったらしい。これから友達になろうとしている2人灯桜は何処か嬉しそうに口角を上げた。
「今度着付けとか教えてください!
私もりっちゃんさんを見習って女子力をアップさせたいなぁ!」
「みっちゃんみっちゃん、りっちゃんは男だよ」
文末に星が付く勢いの紫呉の言葉に、え?と満は利津に目を向ければ利津は恥じらったように視線を斜め下に逸らした。
そこから暫くは利津と満の謝罪大会が始まる。謝罪の中に時折互いを褒める言葉も混ざっているはずなのに目の前の2人は如何せん弱気な2人は褒められても謝り続ける。
しかし一生終わらないかと思われた謝罪大会も終わりを迎える。
「こんな私でよければ着付けでも何でもご一緒させていただきます!」
「ありがとうございます!よろしくお願いします!」
僅かでも前向きになった利津に心の中で良かったね。と灯桜は笑えば、心の声は聞こえてないが、何かに気付いたのか利津は灯桜の方を見れば嬉しそうに口角を上げ、ありがとうと感謝を告げると満の方へ向き直る。
「えっと…こちらこそ末永くよろしくお願いします!」
この2人はきっといい関係になれる。弱虫だからとか卑屈だからお似合いなんじゃなくて、きっと互いを大切にして、そしていつか、あなたと出会うために生まれてきたのだと伝えることができる尊い関係になれると思う。
なってくれたらいいな。