第13章 元就の過去
ここは戦国の世
家族兄弟を早くに亡くすことなど珍しくないのかもしれないが、未だ未来には衝撃的だ
教科書でたった数行で済まされることが、今目の前にいる元就には変えがたい事実で、当事者なのだ
「静かにしてるかと思えば、なんて顔してんだよ」
未来があれこれ考えているうちに、元就は未来の側に腰を下ろしていた
「……っ」
反射的に元就と距離を取ろうと、未来は後ろへ下がろうとした
そんな未来を見た元就は静かに話を続けた
「俺がこんな面倒な性質(たち)になったのはいつからだろうな…。ガキの頃、住んでた城を追い出されたあの頃くらいからかもな…」
自身の手袋をした手を眺める元就の姿は、いつもより小さく見える気がする