第13章 元就の過去
昨夜、看病をしてくれていた広良が幼少期の元就のことを少し話してくれた
隠居した父親と多治比猿掛城で暮らしていたが、父親が亡くなり、後見人だった家臣に裏切られて城を追われたと
「その様子じゃァ、どうせ広良から余計な話聞いたんだろ。はは、惨めなガキだよなァ…」
弱々しい乾いた笑いをこぼす元就に、拒絶されずに差し伸べることのできる手が欲しいと未来は思った
「余計な話じゃないです…。現にその過去があなたをこんなに苦しめているじゃないですか…」
「なんだよ、敵に同情か?」
「…分かりません。同情…なのかもしれません…」
目を伏せる未来を見て、こんな話はするんじゃなかったと元就は後悔した
まして、たかが自分の過去のことで、未来にそんな暗い顔をさせたくなかった