第13章 元就の過去
部屋に沈黙が流れる
気まずさが残る中、未来が黙りこくっていると、元就が口を開いた
「…昔の安芸はな、戦が絶えなくてまるでこの世の地獄みてェなところだった」
「え……」
未来は顔を上げ、元就を見つめた
「俺が生まれた頃は弱小の領主が各々独立して、強い権力を持つ奴はいなかった。それでも国の有事にはそれぞれの領主が集まり戦うこともあった」
窓から少しずつ日が差し込んできて、二人のいる部屋の中が少しずつ明るくなってきた
元就は部屋の隅で胡座をかいて、昔のことを思い出すように遠くを見つめている
「手を組むのは互いの理が一致したときだけ。まあ、悪くねェじゃねェか」
未来は静かに元就の話へ耳を傾けている
「俺が物心つく前からそんな生活だ。親父や兄貴はそんな日々に疲れたんだろうな。二人とも酒に逃げて溺れて、俺を置いて死んでったよ…」
「………っ!」