第13章 元就の過去
まだ夜が明けきらないうちに目を覚ました未来は、熱もだいぶ下がったようで起き上がれるまで回復していた
褥の上で上半身を起こし周りを見渡すと、部屋の隅で壁にもたれて片膝を立て、目を閉じる元就の姿を見つけた
「あ……」
(ずっと側にいてくれたの…?)
奴隷を見張るためだとしても、どうしてか心が喜んでいるのが分かる
(どうしてこんなに嬉しいって思っちゃうんだろう)
元就の無防備な姿に目が離せなくなってしまった未来
雨も上がりまだ明け方なこともあり、部屋の中も外の様子もとても静かで、二人きりの状況はまるで時間が止まったようにさえ感じられた
「…じろじろ見過ぎだろ?」
「わっ……!」
寝ていると思っていた元就から突然声がかかり、未来は思わず驚いてしまった
「くく、病み上がりで間抜けな声出しやがって。…起き上がってもう平気なのか?」
「…はい。おかげさまで…」
「そうか…」