第12章 芽生えた感情
広良から元就のことを聞いた後、未来はいつの間にか眠ってしまっていたみたいだ
しばらくして目を覚ますと、部屋には行燈の火がゆらゆらと揺らめいている
「…起きたか?」
「………?」
未来の眠る褥から離れたところで、座って壁にもたれている元就が、未来に声をかけた
「奴隷をただ見張りに来ただけだ。…まだ寝てろ」
「…どうして…ここに…」
まだ熱を下がらず、身体が重く身動きできない未来は、その声だけで視界に入らない元就を認識した
元就もまだ本調子でないはず
「お前が気にすることじゃねェよ。喋ってねェで、寝てろ」
「…すみません」
息苦しそうに未来は言葉を絞り出した
「あの…、ありがとうございます…」
「はあ…。広良が余計な事言いやがったか…」
いつもの様に悪態を吐きそうになったが、元就はそれをやめた
「まあいい。今はまだ寝てろ」
「…はい」
(…なんか声色が優しい。気のせい、かな…)
薬が効いてきたのも手伝い、瞼が重くなってきて、未来はまた眠りに落ちていった