第12章 芽生えた感情
強く打ちつける雨の中、未来はどのくらいの間歩いていたのだろうか
どしゃ降りのこんな夜更けに、辺りを歩く人影はない
全身ずぶ濡れになり、足元は泥がはねて汚れている
そんなことも気にならない程、元就の言葉が心をズタズタに切り裂いたように痛む
(あの人に…あんな風に言われたくなかったな……)
そんな事を思うと、頬に生温い温度を感じた
「…うぅ……っ。ふ…うっ……」
漏れてしまう嗚咽すら掻き消す雨音
どうしてこんなに苦しいのか
どうして元就のことばかりで頭がいっぱいなのか
どうしてこんなにも傷ついたのに逢いたいのか
ぐちゃぐちゃな気持ちを持て余したまま、当てもなく途方に暮れてずぶ濡れになったせいで、身体が熱く息も上がってきた
「はあ……はあ…」
近くの建物の壁に手をつき体を支えようとするが、そのまま足に力が入らず、そのまま地面に膝がつきそうになった瞬間、誰かに抱きとめられた
そして、そこで意識が途絶えた