第11章 拒絶
「家康様、どうしましたか?」
「これ。その痣に塗っておきなよ」
未来は家康が作った軟膏を受け取った
「これ…、ありがとうございます!」
「あとで部屋を準備させるから、寝る時はそっち使って」
「何から何まですみません…」
「俺がしたいだけだから。じゃあ、おやすみ」
「はい…。おやすみなさい」
柔らかく微笑みを残した家康に釣られて、未来も笑みで返した
そして家康が廊下を曲がるまで見送り、未来は部屋の襖を閉めた
「過保護過ぎじゃねェのか、あいつ」
襖を閉めると上半身を起こしている元就がいた
「お優しいだけですよ…って、それより起き上がって大丈夫ですか…っ??まだ熱が…」
起き上がっている元就の姿に驚き、褥の隣に未来は腰を下ろした
「もう平気だ…。こんな所で呑気に寝てられる程、神経図太くねェんだよ、誰かと違って」
額を押さえながら、眉間にシワを寄せている元就の様子は、まだ大丈夫そうとは思えない
きっと未来が何を言っても聞き入れないだろう
「もしかして…今から安土城に戻るんですか…?」
「お前、薬学は家康から教わってたのか?」
「へ……?」