第11章 拒絶
家康が部屋を出て行くと寝ていたはずの元就の声がした
「………くっ」
「あ…、目が覚めましたか?」
「ああ……、ここは…」
「家康様の御殿です。安土城の手前で発熱して倒れたんです。覚えてますか…?」
「ああ…そういやそうだったか…。くっそ、ざまァねェな…」
前髪をかき上げながら、力無い声を出す元就
「そんなことないです…。助けて頂いて、ありがとうございました。でも…ごめんなさい、あなたにそんな傷負わせてしまって」
「…はァ?なんだよ、突然かしこまって」
「まだちゃんとお礼も謝罪も言えてなかったので…」
「俺が勝手にやったことだ。お前に何か言われることじゃねェよ…」
本当に気にしていなさそうな元就
「あの…どうして助…」
「未来…?入っていい?」
廊下から家康の声がして、未来の言葉は途切れてしまった
「あ、はい」
未来は立ち上がり、襖の方へ歩いていく
元就は一つ息を吐き、熱で怠く重い瞼をゆっくり閉じた
襖を開けると家康が何かを手に持って立っていた