第11章 拒絶
未来の柔らかな唇が触れる感触がすると、一気に吸いだす
ちゅううう…
じゅ…っじゅるっ
じゅるじゅる…っ
「………っ‼︎」
毒のせいなのか、傷口の周りは熱く燃えるように熱を持ち出し始めた
未来の手の温もり、唇が触れている感触
「………っ」
喉から湧き上がる嘔吐のようの感覚は、毒が回り始めたからなのか、触れられている嫌悪感からなのか
「これだけ吸い出せば、ひとまずは大丈夫だと思うんですが…」
未来の声など元就には届かず、早くこの時が終わるのを一心で耐えている元就
未来は先程摘んだ薬草を熱した石ですり潰し、傷口にあてがい手当てをした
目元を覆っていた手を口元に移し、甲斐甲斐しく手当てをする未来を見て、吐き気を抑えながら元就は口を開いた
「お前にとっちゃ、俺は死んだ方がいいんじゃねェのか…?」
毒に当てられたのか、覇気を無くした弱々しい物言いと伏せた瞼
「それとこれとは話が別です。ここであなたを助けない理由にはならないです」
「俺にとっちゃ充分だ…」
「この時代はほんの僅かなことで命を落としてしまいます…」
未来は手を動かしながら、話を続ける
「私は…あなたが言うように呑気に生きてきました。こんな…、死と隣り合わせな日常じゃない、本当に能天気に…。だから怖いんです、命が奪われることが」
「なら、俺に恩でも打ったつもりか」
「こんなことであなたに恩が売れるなんて思っていませんよ。でも…そんなことが言えるようになったんなら、もう大丈夫ですね」
安堵したように、未来は心配そうに笑った
「早く安土城へ戻りましょう。ちゃんとした手当が必要です」