第11章 拒絶
「透き通ってて川底まで見える。すごく綺麗だなあ…」
(現代でここまで綺麗な川は、なかなかないだろうなあ)
はしゃぐ未来の姿に、何故かそんなに悪い気はしない元就
あの雨の日以来、未来とどう接していいか分からずにいた
未来の手には、あの日元就の爪で傷ついた切り傷が今も微かに残っていて、それが目に入ると僅かながらの罪悪感と、あの日の嫌悪感がぶり返しそうになる
「あ、これ確か解毒になる薬草だ。…ん?これは消炎に使う薬草だ。すごい、ここ薬草の宝庫だ。…ふふ、家康様なら喜びそう」
「何手に持ってんだ?」
背中から突然元就に声をかけられ、未来は思わず声をあげてしまった
「わっ!あ……これ、結構貴重な薬草なんです。摘んで帰ろうかなと思って」
「…お前、薬学にも精通してんのか?」
「そんな大したものじゃないですけど、安土にいる時に教えてもらってたんです」
教えてくれているのは家康ということを未来はなんとなく伏せた
「ふーん。物好きなお姫さんだな」
「誰かを助けられるなんて素敵じゃないですか」
ふふ、と微笑む未来
夢中で葉っぱと睨めっこをする未来の姿は、どこか子供のように無邪気だった
「人を助けるのが素敵、ねェ。相変わらず呑気な思考してんだな」
「呑気でいいですよ」
ご機嫌な未来は薬草に釘付けだ
そんな未来の背後から、光る何かが元就の視界に入ってきたその瞬間
「…未来っ‼︎」
「え…っ」
未来は元就に勢いよく腕を引かれ、前のめりに倒れた
「………っ‼︎」
未来の背後から蛇が近づいていることに気づいた元就は、反射的に未来を庇ったのだ
「元就様‼︎」
いつも落ち着いている広良が一部始終を見ていて、慌てて元就のそばへ駆け寄ってくる
「え……」