第9章 再会
外からそよいでくる風に乗って、湯上りの未来の匂いが元就へ届く
乾ききっていない結い上げた髪、そこから覗く細い首とうなじ、酒に酔って桃色になる頬、月を見上げる微睡む瞳
未来を形取る全てから元就は目を離さなかった
「お前は……」
「…え?」
「…いや、なんでもねェよ」
「……?」
「そう言えば、こうして誰かと空を見上げたりしてゆっくり過ごすなんて、ずいぶん久しぶりです」
「別に俺はお前をゆっくり過ごしにきてるわけじゃねェよ」
「ふふ、それでも、結果的にそうなってるじゃないですか」
普段の様子と違い、お酒が入っているからか未来はご機嫌のようだ
「よく考えてみたら、この時代に来てから心が休まる時なんて…本当はなかったのかも…。なのに、敵将の人と…こんな…」
「おい、"この時代に来てから"ってどう言う意味だ。お前……って…」