第9章 再会
秀吉から受け取った盆を持って部屋に戻ると、窓際で葉巻を持て余していた元就が訝しげに未来へ目をやる
「酒か?」
「はい。気が休まるようにと、秀吉様から今頂きました。一緒に飲みますか?」
「…遠慮しとく」
元就を横目に未来は元就の隣に腰掛け、雲一つない空に浮かぶ満月を見上げた
近くに、それも真横に座った未来の行動を元就は不可解に感じギョッとした
「綺麗な月ですねえ」
「あ?あ、ああ…」
徳利を手に持ちお猪口へ少し注ぎ、そのお猪口に唇をつけた
コクッと一口飲むと、未来の表情がぱあっと明るくなった
「ん、美味しい」
元就の方を見ないで、未来は高く登る満月から視線を外さないでいる
(さっき…秀吉様に全て話せば、こんな囚われの日々からきっと解放されたのに…)
敢えて未来は秀吉に何も話さなかった
元就が一体何を企んでいるのかを突き止めたいと思う気持ちに変わりはないから
未来一人で何ができるわけでもないが…
うだうだと考えてしまう思考を払うため、また一口、グッとお酒を流し込んだ