第8章 故郷
「…お前それを勉強しに行ってきたんなら、知ってるはずだろ?」
「え…いや、まあそうですけど。もしかしたら私の知らないことが他にもあるかなあって…」
(この時代にどんな物があったのか気になったんだけどな)
先程とは打って変わって意気消沈する未来
元就の言葉で、一喜一憂する未来の表情がコロコロ変わり口元が緩んだ
「お前は見てて飽きねェな」
ふっと笑う元就
時たま見せるこの笑顔に、未来はいつも落ち着かなくなる
(うう…。不意打ちはダメだよ…っ)
「そ、それより、さっきからなんか距離遠くないですか?いつもズケズケくるのに…どうかしましたか?」
今までとは違い、元就は未来のそばに寄ろうとしないことに違和感を感じていた
二人の間に大人二、三人が入れそうな距離感があまりに不自然で、そわそわする気持ちを誤魔化そうと未来は話題を変えた
すると元就から一瞬表情が無くなった気がしたが、次の瞬間、いつもの意地悪な顔を覗かせた
「…へェ。お前、俺と離れてると寂しいのかァ?」