第2章 姫君
「未来、今日の交渉も上手くいったみたいだな」
「さすがですね、未来様」
初めこそ家臣の人たちや同盟関係の武将たちからは色々と疑いの目を向けられるも、次第にそれもなくなり、今では気さくに接してくれる
「あ、秀吉様と三成君」
商談を終えた未来が廊下を歩いていると、豊臣秀吉と石田三成に声をかけられた
未来を妹分のように可愛がってくれる秀吉と、癒し系の三成
(有名戦国武将とこんなに気さくに接する人生がまさか私に起きるなんて…未だに信じられないな)
「今や安土城下で人気の品は、どれもこれも未来が交渉して仕入れた物だからな」
「私はただの通訳ですよ。信長様のお目利きがあってこそです」
「ご謙遜を。未来様の交渉術はとても優れていると定評なのですよ」
「ふふ、お二人ともありがとうございます」
(このお二人はいつも褒めてくれて、嬉しいな)
「そういえば政宗が未来を探してたぞ。新しい料理の味見をして欲しいとか」
「わあ、楽しみ!最近、政宗様に料理を教わってるんです。今日は何かな」
「未来様は何でもこなされて尊敬します!花嫁修行ですか?」
満面の笑顔で尋ねる三成の隣から、烈火の如くまくし立てる秀吉
「何を言い出すんだ三成!花嫁修行なんて未来にはまだ早いぞ!嫁ぐなんてそもそも信長様がお許しにならないぞ!どこぞの馬の骨かわからない男なら叩き切ってやるからな」
「う、うん…。花嫁修行ではないから…、落ち着いて下さい秀吉様。あ、そろそろ政宗様のところに行ってきます!それじゃあ…」
逃げるように慌ててその場から離れる未来
(秀吉様のアレが始まると何故か私にもとばっちりが…)