第7章 病
「ふう……」
ポチャン…
縁に腕を置き湯船に浸かる元就は、濡れた髪をかきあげ、真上に浮かぶ月を見上げた
(ここにあいつが倒れているのを見つけた時は、存外面倒臭さかったが…)
目を閉じて茶屋での未来を思い出す
顔を寄せただけで、耳を赤くしてムキになる未来
微笑みを向けると目を奪われたように見つめてくる未来
上目遣いで元就を見上げる未来
名前を呼んだだけで頬を染める未来
(ふてくされて不機嫌な時よりは良い顔してたな)
元就はハッとして目を開ける
(あいつにちょっと触れただけであんな有様なのに、なに考えてんだ俺ァ…)
「あいつのお守りで疲れてんのか…」
目頭を指で押さえながら湯船から出る