第7章 病
襖を後手に閉めて、ずるずるとその場に座り込む元就
「はあ…っ、はあ…っ」
ゾワゾワと全身に虫唾が走る気持ち悪さに必死で耐える
手袋越しに少し温もりが触れただけなのに、こめかみを汗がつたう
(クソ…ッ)
ドクンドクンと脈打つ鼓動が痛い
(早く鎮まれ…っ)
日中の茶屋でも、未来の帯へ手を回すのは苦痛だった
手袋越しで、さらに人の温もりが伝わりにくい帯ですら、背中を嫌な汗が流れていた
宿に未来を残し、元就一人で外へ出たのも吐き気を紛らわす為だった
幼少の頃からこの厄介な体質と付き合ってきたが、今回ばかりは酷い
「はは…、奴隷相手に滑稽だな…」
自嘲気味に笑う元就の声は乾いていた