第7章 病
ガバッと勢いよく起き上がり、未来は目を見開いて元就を見た
「痛……っ‼︎」
勢いよく起き上がったせいで頭と手首に激痛が走る
「倒れた拍子に頭を打って怪我もしてる、無駄に動くと悪化するぞ。…ったく、面倒くせェ奴隷だな、お前。ご主人様の手ェ煩わせるとは」
(煩わせる…。え、どうゆうこと…。え、やっぱりそうゆうことなの…⁉︎)
「………っ」
目が泳ぎ、パチパチと何度も瞬きを繰り返し、唖然とする未来が愉しくて、元就は吹き出した
「奴隷の貧相な身体見たところで何にも思いやしねェよ。そんなに気にするな、減るもんじゃあるまいし」
「へ…減りま…っ」
「あ?」
(…いやいや、今私がこの人に怒るのは間違ってるか…)
「…ご迷惑おかけしました」
「…は?」
「いえ、だからその…、倒れたのは私が悪いので…その、お手を煩わせたのは事実ですし…。ありがとうございました…」
謝罪と礼を言われるとは思わず、元就はぽかんとした
「お前…変なやつだとは思っていたが、本当に変わったやつなんだな。奴隷扱いするやつに礼とか普通ありえねェだろ」
「自覚あるんですね…」
「あ?」
「…でも、それとこれとは別の話です。助けてもらったらお礼するのは当たり前じゃないですか」
「変なやつだな…」
「さっきから人のこと変、変って……っ、うう…イタタ…」
元就に言い返そうとする未来だったが、頭を押さえて俯いた
「だから無駄に動くなって言っただろ。手首も打撲してる。今日はもうこのまま寝ろ」