第6章 許嫁
キャサリンは思いがけない言葉を投げかけられ、明らかに困惑している様子だ
隣で聞いていた未来も実のところ内心では動揺している
(将来を誓った愛する者って…、確かに許嫁ってそう言う意味だけどっ。改めて言葉に出されると、振りとはいえ私までドキッとする…)
「こちらはウエストミンスター伯爵とその妹のキャサリン様だ」
元就は未来へ彼らを紹介した
「わあ、ショウのフィアンセに会えるなんて!それにこんな美しいお嬢さんが相手なんて、案外隅におけないな、ショウは」
(ご兄妹ってことは、この方がこの件を依頼した人…)
そう話す伯爵を見上げると、未来を見つめる伯爵にドキリとした
「初めまして、未来。あなたのような麗しい方とお会いできて光栄です。これからどうぞ、末長くよろしくお願いします」
伯爵は流れるような仕草で未来の手を取り、甲へ唇を寄せた
(わ…っ。この時代でこんな海外式の挨拶をされるとは思ってもなかった…)
思わず身体を硬直させていると、元就の声が飛んできた
「伯爵、南蛮風の挨拶は結構ですが、私の許嫁を口説くような真似はお控え下さい」
「ははは、すまない。彼女があまりにも美しいのでつい、ね」