第6章 許嫁
「そんなふて腐れた顔してねェで、許嫁らしく笑顔の一つくらい振りまいてみろよ」
未来の右耳でそっと囁く元就の息がかかり、慌てて身を引き両手でその耳を庇った
「………っ⁉︎」
顔も耳も真っ赤にし大きく目を見開いた未来は、元就へ振り向く
「へェ…、お前敏感すぎだろ」
悪い顔をしながら愉しそうにする元就
「そんな顔も出来るんだな、お前。もっと見せてみろよ」
「や、やめてください…。それより、ちゃんと見てて下さい、見過ごしちゃいますよ」
「お前越しに通りの方はずっと見てる、安心しろ」
「だから近いですって…っ」
「大人しくその可愛い顔見せれば許してやるよ」
徐々に迫ってくる元就に、未来は不覚にもドキッとしてしまった
「……っ⁉︎可愛いって何言って……っ」
「ショウ!」