第6章 許嫁
そんな元就の言い方にムッとする未来は、手錠を外すかわりに出された条件が、元就の許嫁になることと言われた時のことを思い出していた
ーーーー
「お前、俺の許嫁になれ」
「…仰ってる意味がわからないんですが」
「取引相手の妹にしつこく付きまとわれてて、鬱陶しいと思ってたところでな。相手を逆撫でしねェで丁重に断っておきてェ」
「それで…許嫁の、振り…」
「まっ、そうゆうことだ」
「そんなことしてて、信長様のことはいいんですか?」
「すぐにどうこうするつもりはねェ。信長を討つにも事前準備が必要だ。その手筈が整えば、すぐにでも倒してやるよ。まっ、それまでは目障りな塵(ごみ)の掃除にでもお前を使ってやるよ」
「塵って…、あなたに好意を寄せてる人なんですよね。そんな言い方しなくても…」
「俺には関係ねェことだ」
きっぱり否定され、関係のない未来だったが、その相手のことを考えると心が傷んだ
「明日、しっかりやってくれよ、許嫁殿?」